それは1968年の夏の夜の出来事だった。
亡命用器具として生まれたアクアスクーター
東西ドイツが分断されていた冷戦時代、旧東ドイツのひとりの青年がバルチック海に面した海岸グラルミューリッツの近くのひと気のない波打ち際から、彼自身がスクーターと呼んでいる見慣れぬマシーンで約24km離れたデンマークの沿岸まで行き、西側に亡命する行動を開始しました。監視塔の間断ない強力なサーチライトを避け、エンジンと彼自身の空気を一本のシュノーケルから供給を受けながら暗い水中を、憧れの自由世界に向けてつき進みました。途中披露と低温による腹痛に耐えながら持ち前の意思の強さも手伝って、とうとうデンマークの灯台船にたどり着き、そして助けられました。これが彼、ベルント・ベットゲル氏によってアクアスクーターが初めて亡命の成功と一緒に注目を浴びた経緯です。そう、今から38年前のセンセーショナルな出来事でした。その後、スクーターと呼ばれたアクアスクーターは幾度か改良を重ねながらマリーンレジャーにまた海洋業務などに広く利用されております(下記の図はその原型に近いもので左下のカラー画像は現行型)